やさしい微分積分
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なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。
【問1】hの値を変えたとき、
放物線 y=x2/4+h (式1)
と、円 x2+(y-1)2=1 (式2)
とが接する場合に、その接点(x,y)の値を求めよ。
(解答の方針)
なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できるので、微分により接線の式を計算する方程式を書く。
(解答)
(1)
接点(x,y)において、
式1から、
放物線 y=(x2/4)+h (式1’)
式2から、
円 x2+(y-1)2=1 (式2’)
(2)
式1の放物線の接点(x,y)における接線の傾きy’は、式1の関数をxで微分して計算し、
y’=2x/4=x/2 (式3)
(3)
式2の円の接点(x,y)における接線の傾きは、
円のグラフの法線の傾き(y-1)/xの逆数に(-1)を掛け算したものであって、
y’=-x/(y-1) (式4)
ただし、法線の傾きが無限大の場合には接線の傾きは0であり、その場合でも、式(4)によって接線の傾きが計算できる。
(4)
式3と式4の接線の傾きy’の値が等しいので、
この式5を解くと、
x=0 (式6)
or
y-1=-2 (式7)
式2から -1≦y-1≦1
であるので、式7は不適。
よって、式6のみが解である。
(5)
式6を式2に代入する。
(y-1)2=1
(y-1)=±1
y=2
or
y=0
接点は、
(x,y)=(0,0) (式8)
or
(x,y)=(0,2) (式9)
式8の場合に、式8を式1に代入する。
h=0
式9の場合に、式9を式1に代入する。
h=2
よって
接点=(0,0)でh=0
or
接点=(0,2)でh=2
(解答おわり)
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《曲線の接線》
区間で連続な関数f(x) のグラフy=f(x) を考え、その関数f(x) が所定の区間で微分可能な場合を考える。
微分可能な区間の変数xの点 x=a におけるy=f(x) のグラフの曲線の接線の方程式を導出する。
グラフy=f(x) 上の点(a, f(a)) における接線の傾きは、関数f(x) を微分した結果の導関数f’(x) の変数xの点x=aにおける微分係数f’(a) に等しい。そのため、グラフ上の点における接線の方程式に関して以下のことが言える。
グラフy=f(x) 上の点(a,f(a)) における接線の方程式は、
y=(f’(a))(x-a)+f(a) , (1)
とあらわされる。
【問1】y=x2の曲線の変数xの点x=1でのグラフの接線を求めよ。
【解答】
f(x) =x2
微分の公式により
f’(x) =2・x
f(1) =12=1
f’(1) =2・1=2
接線の方程式は、
y=2(x-1)+1
=2xー1,
(解答おわり)
(接線の定義)
連続なグラフ上に2点A,Bを取って、その2点をその間のグラフの点Cに無限に近づけた時に、その2点A,Bを通る直線が1つの直線に収束する場合に、その直線を、そのグラフの、点Cにおける接線と呼び、点Cを接点と呼びます。
(注意)
グラフの不連続点や、グラフが滑らかでは無く折れ曲がっている点においては、その点における接線は考え無いことにする。その不連続点や折れ曲がり点で接する直線があるかもしれないが、その点Cの両側の点AとBの一方の点が無かったり、直線の傾きが1つに収束し無かったりするので、その点における「接線」については考え無いことにする。
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接線と接点の定義
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【積分とは何か】
先のページでは積分の大まかな考え方:「分割した要素の総計を求めてグラフの面積を計算する手法が積分という」を示した。ここでは、積分という概念を、より具体的に定義する。
関数 y = f(x) は閉区間 [a, b] で連続とする.
この区間を図のように (n-1) 個の点
x1, x2, … , xn-1
で n 個の小区間
[a,x1], [x1,x2], … , [xn-1, b]
に分ける.それら小区間内にそれぞれ任意の点
t1, t2, … , tn …①
をとって,和:
を作る.ただし、a=x0,b=xnとする。
すべての小区間の長さが,いずれも 0 に近づくように n を限りなく大きくするとき, ①の点の位置のとり方にかかわらず, 和Snは一定の値Sに近づくことが知られている。この一定の値Sを極限値,または、極限と呼ぶ。また,このように和が一定値Sに近づくとき、和がSに収束する,と言う。この極限値Sを,関数 f(x) の区間 [a, b] における定積分といい
で表す.
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積分可能の定義と原始関数と不定積分の求め方
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