2018年6月30日土曜日

円の面積を積分で求める

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「微分・積分」の勉強

(1)積分:
 以下の問題を考えます。
【問題】 
 半径 1 の円の面積Sをπと定義する。
面積S=π
この面積Sを求めよ。

(解答)
 この問題は、以下の様に解くことができます。

 円を、以下の図の様な短冊に分割し、その1つの短冊の面積Δsを計算します。 
短冊の幅をΔxとします。

円を分割する間隔のΔxあたりの短冊で、その中心の位置のX座標がxの短冊の面積Δsが以下の式1で求められます。

この短冊の面積の総和が円の面積です。
 この円の面積を求めるための、円の短冊への分割数を10から80まで変えて短冊の面積の総和をエクセル計算表を使って計算した結果、以下の表1の値が得られました。

【表1 円の面積の近似】
円の短冊への分割数を80まで増やしたら、円の面積が近似的に3.14になりました。
(解答おわり)

 この様に、要素に分割して総和を計算することが「積分」をするということです。
 積分という概念は、人間の思考視野を広げる思考パターンとして受け止められて初めて、身に付いた数学思想となります。その積分の概念を、身に付き易いよう、わかりやすく書いてある本:
『「超」入門 微分積分』(神永 正博)
を読むことをお勧めします。読めば、積分が面白くなると思います。

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2018年6月22日金曜日

ベクトル計算での挫折を回避する方法

 ベクトル計算は本質的に、余弦定理に関連する計算に向いています。正弦定理や円周角の定理で解ける問題は、ベクトル計算を使わないで、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方がスムーズに解けます。正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解くべき問題をベクトル計算だけで解こうとすると挫折します。

 しかし、以下の様な、円周角の定理の公式1を使うことで、挫折を回避して問題を解くことができます。

 上図で、三角形ABCの外接円の半径をRとすると、円周角の定理が次の式1であらわされる。
cosA=m/R, (1)

この式1は、円周角の定理から素直に導き出した式であり、ベクトル計算で導こうとするととても苦労する式です。

また、ベクトル計算で導こうとすると更に苦労する式:
|AB||AC|=2Rh, (3)

この式1と3を円周角の定理を表現した式として覚えて使うことで、通常は挫折するベクトル計算の挫折を回避することができます。

【問題1】
 以下の図の三角形において、
|BA|・|CA|=2R・h (式3)
 が成り立つことを証明せよ。
【解答】
 上の式を使った以下の計算で、ベクトルBAとベクトルCAの内積を変形します。
・・(式2)
以上で、ベクトルの内積の式を変形した結果、外接円の中心の高さmをベクトルの内積で計算する定理(式2)が得られました。

一方、ベクトルの内積から以下の式が得られます。
式2にこの式を代入し、更に、円周角の定理の式1を代入する。
これで式3が得られました。
(証明おわり)

 しかし、この式3は、正弦定理を使うことで速やかに導かれますが、式1を使わない通常のベクトル計算では、容易には解けずに挫折する問題です。

 この問題が式1を使うことで解けたのは、式1は正弦定理の同類の円周角の定理を表現した式であり、式1を使うことで円周角の定理を使って問題を解いたからです。

 このように、正弦定理や円周角の定理を使わないと挫折する問題は、式1のように円周角の定理をベクトル計算の中に組み込んで使うことで、挫折を回避して解くことができるようになります。

 以上の式を覚え易い形にまとめて整理すると以下の式になる。


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2018年6月17日日曜日

未知ベクトルとそれに垂直なベクトルを使うベクトル方程式

【問1】
上の三角形において、点B,Cの位置ベクトルを、B (1,0)と、C(0,√3)とする。
 ベクトルOZに関して図の角度の条件が成り立つ場合、すなわち、
∠OZC=∠OZB=120°
となる場合の、
位置ベクトルZを求めよ。

(解答の方針)
 この問題は、余弦定理等を使って解くことは困難ですが、複素数平面を使うと解けます。
複素数平面を使う解き方は、ここをクリックした先のページにあります。

 以下では、複素数平面を使う解き方の有効性をベクトル方程式にも持たせた形のベクトル方程式の作り方を参考に示します。
この問題を解くために作るベクトル方程式は、未知ベクトルZとそれに垂直なベクトルを使ったベクトル方程式を作ります。
 ただし、この解き方は、複素数平面を使う解き方に比べかなり複雑な解き方ですので、この解き方よりは複素数平面を使って解く解き方(未知数の1次式~2次式)の方がエレガントな解き方だと考えます。

ベクトルの回転変換の公式を使った解答(参考用)】
この図で、ベクトルZを左回りに90度回転したベクトルZを使います。
この問題を解くために、
ベクトルの回転変換の公式を使って、未知数sとtを使った以下の方程式11と式12を作ります。
式11と12を式15と式16に変形した。
以下のように式15と式16から、ベクトルZを消去した式を作りベクトルZを求める。
この式は、未知数sとtとx及びyの3次の式である。
この式からベクトルZを表わす式17を作る。
この式17でベクトルZが得られたので、そのベクトルZに垂直なベクトルZが以下の式18で得られる。
 この式17と式18をベクトル方程式16に代入して、未知数sとtだけを含む未知数の最大次数が2次のベクトル方程式19を作る。
それにより、未知数sとtを求めることができる。
式20と21を更に変形する。

t=0の場合は不適。
t≠0の場合を計算する。
以上で得たsとtを式17に代入して位置ベクトルZの座標を計算する。
(解答おわり)

(補足1)
 この解き方は、未知数を、ベクトルZの変数x,yと、未知数sとtとの4つの未知数を含む3次の方程式を解く解き方です。その3次の方程式を、変数x,yと未知数s、tを切り離して解を求めることで、問題を実質的には2次の方程式と同等な式として扱い、問題を解き易くしました。

(補足2)ベクトルを90度回転したベクトルの法則
ベクトルaを反時計回りに90度回転した単位ベクトルa=fを、
更に反時計回りに90度回転した単位ベクトルfは-aになる。
そのため、ベクトルの内積a・bを、

両ベクトルを一緒に反時計回りに90度回転して内積した値は同じ値になるが、
その関係は、以下の式であらわされる。
・b=-a・b


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2018年6月13日水曜日

ベクトルの回転移動と三角関数の加法定理

 ベクトル計算は本質的に、余弦定理に関連する計算に向いています。正弦定理や円周角の定理で解ける問題は、ベクトル計算を使わないで、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方がスムーズに解けます。回転変換についても、円周角の定理を使うのと同様に、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方が良いです。

 正弦定理や円周角の定理で解ける問題がベクトルで解きにくいというベクトル計算の弱点(不自由さ)は、 ベクトル計算で問題を解かずに、XY座標軸を使って解き、その座標成分同士の関係を計算する自由な計算により改善できます。

【問】
 以下の図のように、
ベクトル(X,Y)を、左回りに角度θ回転させたベクトル(X’,Y’)の各座標をXとYであらわす座標の回転移動の公式を導け。


(解答)
 上図を見て導いた上式で、ベクトル(X,Y)を、左回りに角度θ回転させたベクト(X’,Y’)の座標をあらわすベクトルの回転移動の公式が得られた。
(解答おわり)

ここで、

左回りに回転させたベクトル(x’,y’)を元のベクトルの成分(x,y)であらわす式と、
元のベクトル(x,y)を、左回りに回転させたベクトルの成分(x’,y’)であらわす式と、
は、
以下の式の様に、θの正負を逆にしただけの式であらわされる、
回転変換式の間の対の関係がありますので、覚えておきましょう。

 この回転変換の公式は常識として、素早く導き出せるようにしましょう。
 以下の図の様に、
Xはベクトル(X',Y')の単位ベクトルaへの正射影の長さであり、
Yはベクトル(X',Y')の単位ベクトルavへの正射影の長さである。


 この回転変換の公式の思い出し方は、図を目の視線でたどって、以下の様に場合分けした式の部分を素早く導き出して思い出せるようになりましょう。

すなわち、
上の図を思い描いて、図から、

X座標のみがある場合のY’座標が(sinθ)・Xであること。
Y座標のみがある場合のX’座標が(-sinθ)・Yであること。

を想像します。
すなわち、以下のような式を想像します。

 次に、それ以外は、係数がcosθの項を加えることで、
式1と式2の回転変換の式ができあがります。
式1と式2は、上の座標平面の図に書いた単位ベクトルaと、それに垂直な単位ベクトルavを使って、以下の式5の形のベクトルの合成の式にまとめられます。


(三角関数の加法定理)
ここで、ベクトル(X,Y)が既にX座標軸から角度アルファで回転していた場合を考えます。
その場合は、ベクトル(X’,Y’)は、それよりも更にθ回転していますので、式1と2は、以下の式6と7になります。
この式6と7によって、三角関数の2つの加法定理が導けました。


(三角関数の加法定理の覚え方)
sin(α+β)=sc+cs=sin(α)cos(β)+cos(α)sin(β)
cos(α-β)=cos(β-α)=cc+ss=cos(α)cos(β)+sin(α)sin(β)
cos(α+β)=cc-ss=cos(α)cos(β)-sin(α)sin(β)


リンク:
三角関数を勉強する意味と加法定理が速やかに学べる手順
(行列による)座標の回転変換の式のおぼえ方

2018年6月12日火曜日

ベクトルによる座標軸の回転変換の公式

【ベクトルによる座標軸の回転変換の公式】
 ベクトル計算は本質的に、余弦定理に関連する計算に向いています。正弦定理や円周角の定理で解ける問題は、ベクトル計算を使わないで、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方がスムーズに解けます。回転変換についても、円周角の定理を使うのと同様に、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方が良いです。

 正弦定理や円周角の定理で解ける問題がベクトルで解きにくいというベクトル計算の弱点は、計算で使うベクトルaに対して、そのベクトルを90°回転させたベクトルを対にして使用して計算をすると、その方法は技巧的ですが、このベクトル計算の弱点がある程度補えて、ベクトル計算でも、円周角の定理や正弦定理に合った問題も解けるように改善できます。

 ベクトルの方程式で、回転変換を扱うのも同様な問題があって、回転変換を記述するには:
 下図のように、ベクトルaに対して、そのベクトルaを90°回転させたベクトルbを対にして使用すると、回転変換がベクトルを使って表現できるようになり、
ベクトル計算が本質的に持っている弱点を補うことができます。
ベクトルaを左回りに90°回転させたベクトルbは以下の式9で作ります。
この図の位置ベクトルZのXY座標軸で見た座標値を、(x,y)とします。
このベクトルZを、ベクトルaとbの合成で式1であらわします。
このベクトルZの合成の係数sとuは、ベクトルa方向のs座標軸とベクトルb方向のu座標軸であらわしたベクトルZの座標値を意味します。
このベクトル方程式1は詳しくは以下の式であらわされます。
 この式7と8は、(x,y)を(s,u)で表す座標軸の回転変換の公式をあらわします。
 なお、ベクトルaに垂直なベクトルbは以下の式9で作りました。
この様にして座標軸の回転変換の公式の7と8が得られましたが、この公式は、考えにくいものでした。
(1)以上では、座標軸を回転させてその新しい座標軸における点の座標値を(s,u)としました。
(2)ベクトル(x,y)を、上記の座標軸の回転方向と逆方向に回転させて、その新しいベクトルの座標値を(s,u)とすると考えることで、上記の(s,u)と同じ(s,u)が求められます。
この(2)の方法の方が考えやすいかもしれません。
この(2)の方法の、ベクトルの回転方法は、この行をクリックした先に書きました。

(sとtをxとyであらわす)
 式1のsとuは以下の計算で求めます。
 (10):ベクトルaと式1の両辺の内積をとると、以下の式10が得られます。
(11):ベクトルbと式1の両辺の内積をとると、以下の式11が得られます。
このsとuの計算結果は以下のように整理できます。
すなわち、座標値sとuで表したベクトルzが、su座標系でベクトルcであらわされたX座標軸のX座標値と、それに垂直なベクトルであらわされたY座標軸のY座標値であらわすベクトル方程式14が得られました。
詳しくは、以下の式17と式18であらわされます。
式7と8と、式17と18のセットで、座標軸の回転変換の公式が得られました。

リンク:
ベクトルの回転変換と三角関数の加法定理
座標の回転変換の公式を初めて学ぶ学び方
高校数学の目次


2018年6月4日月曜日

ベクトルを勉強する意義と問題をベクトルで解くパターン

 ベクトルは数学や物理学などのさまざまな分野で非常に重要な概念です。ベクトルを学ぶことには多くの意義があります。

(1)ベクトルは幾何学において重要で、点、直線、平面、多角形などの幾何学的な対象を表現し、関連する計算を行うために使用されます。

(2)物理学では、ベクトルが力、速度、加速度、電場、磁場などの物理的な量を表現するために広く使用されます。ベクトルの理解は、物理学の基本原理や問題解決に不可欠です。

(3)ベクトルは、コンピューターグラフィックスやデザインにおいて図形、イメージ、アニメーションの表現に使用されます。

(4)機械学習やデータ分析の分野では、ベクトルはデータの表現と特徴抽出に使用されます。

《ベクトルの定義》
下の図のようにXY平面上に2点A,Bがある。

今、動点PがAからBまで移動したとすると、この移動量は、
「X方向に+3,Y方向に+4」
である。これを、
「点Pは

だけ移動した。」
と書くことにし、AからBまでの移動量を、

と表現できる。この点の座標の複数の成分の移動量の集合をベクトルABと呼ぶ。また、もっと一般的には、複数の数の集合をベクトルと呼ぶ。
(ベクトルの定義おわり)

ベクトルは、図形の点の座標の複数の成分をまとめて点を把握する役にたつ概念です。

 高校数学のベクトルは,中学校の相似の問題と高校の図形の問題とに関係があります。ベクトルの問題はほとんどが相似等の幾何的な手法だけでも解ける。また、座標上における計算だけでも解けます。

 それらの良いところを取ったような感じなのがベクトルです。

 また、ベクトルは、連立方程式の式の計算において、連立する2つあるいは3つの式をまとめて1つのベクトル方程式であらわして、複数の式の表現を簡単化する役にもたちます。
 連立方程式を1つの式にまとめてベクトル方程式という簡単化した形にすると、以下に示すようなベクトル方程式の法則も見えてきます。


 すなわち、ベクトルは、数学の問題を、まとめられるものはまとめて、統一的に図形的に把握する視点を与える思考ツールだと思います。


 ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段で問題を記述し、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせ、問題を解く作業を行なうということです。

 ベクトル自身の法則を使って問題を解く方法の解き方のパターンに、ベクトルの内積の分配の法則を使って内積の式を変形することで問題を解くパターンがあります。この式の変形のパターンを知らないと問題がまったく解けません。

 ベクトルは、問題や公式を記述する道具という側面もあります。ベクトル自身の法則を使わないで問題を解く場合もあります。
 ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って問題を図形的に記述し、問題を、図形で考えられるようにし、図形を解くあらゆる手段を用いて問題を解く助けを得られるようにして問題を解く作業です。
 ベクトルで問題を解くあらゆる手段の1つには、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことも含まれます。

 XY座標系のグラフを使って三角形の垂心を求めることが解き易いのに、それをベクトル方程式を使って解くと、解きにくいことがあることに気づきます。ベクトルの問題を解くときの基準ベクトルの組の選定が良くないと問題が解きにくくなります。適切な基準ベクトルを使って問題を解けば、問題が解き易くなります。

 ベクトルで問題を解く場合、問題を、ベクトルという表現手段を使って図形的に整理した形で表現する。一方、
その問題を解くのは従来の図形問題の解き方で解いても良い。そして解答だけを、再びベクトルという表現手段によって書いても良いと思います。

【数学が得意になるということ】
 「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)
に、スタンフォード大学に入学した大学生に教える「数学移行講座」の教育内容が書かれています。
 数学移行講座が必要な理由は、学生が大学の数学教育についていけるようにする基本的考え方を教える必要があるからです。
「数学的能力は2つのタイプに分類できます。
最も必要とされている能力は、2つ目のタイプの能力で、
製造業などで新しい問題に取り組んで、その鍵となる特徴を認識して数学的に記述し、その数学的記述を使って問題を正確に分析することができる能力です。


 数学教育では主に1つ目のタイプの人間(公式を覚えて当てはめて定型的な問題の答えを出すことができる)を育てることに力点が置かれてきましたが、結果的に2つ目のタイプの人間も育ちました。
21世紀は、タイプ2の能力に対する需要の方が大きくなっています。
このタイプ2の人材は、
数学の箱の中ではなく、外で考えられる人材です。
『斬新な数学的思考家』と呼ぶのが良さそうです。」


 ベクトルを学ぶということは、この、問題の鍵となる特徴を認識して数学的に記述する手段を学ぶという意味を持ちます。

【ベクトルを使って問題を解くパターン】
 ベクトルの問題を解くという作業は、解答者が自身で、
(1)求めるベクトルの解をどの2つ(又は3つの)基準となるベクトルを使って表すかのベクトル系を決める。
 (基準となるベクトル(ベクトル系)の選択は、図形問題を解くための座標軸を選択することに相当します)
(2)次に、その2つの基準となるベクトルの線形結合の実数の係数を、ベクトル計算によって求める。
という作業です。

 解を表現するために適切な基準となるベクトルとして、どのベクトルを選ぶかは、ベクトルを用いる解答者自身の数学センスであって、ベクトル独特の計算方法が適切なベクトル系(基準となるベクトル)を導き出してくれるわけではありません。
(1)の段階でどのベクトルを基準にするか、解に使われる基準となるベクトルの群のベクトル系を決める事が解答への大切な糸口になります。
解答者が選んだ基準となるベクトルで構成したベクトル系以外によっては、その解はあらわされないのです。もちろん、計算の途中で式の置き換えなどによって新たに定義したベクトルも、最初に選んだベクトル系に加えることができるので、手遅れということはありませんが、、、。
 ベクトル系の基準となるベクトルを切り替えて解を異なる形に表現すると、その新しいベクトル系であらわした解は、一見、全く異なる解に見えますので、最初に解答者が選択する基準となるベクトル(ベクトル系)の決定には良く注意する必要があります。
  ベクトルは問題の記述手段であって、どのベクトルを基準となるベクトルにして問題を記述するかは解答者の意思に委ねられている。
例えば、ここをクリックした先のページの様に、三角形の外心をあらわすベクトルの式はベクトル系(基準となるベクトル)に依存して3つ以上の形が異なる式で外心があらわされます

 ベクトルを学ぶ意義は、「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)が目標にしている「斬新な数学的思考家」になるための数学的記述手段を手に入れることにあります。

 ベクトルの概念という記述手段こそが、ベクトルの持つ最大の利点と考えます。
ベクトルという問題の記述手段を使って問題を整理して記述することが大切です。
そうしてベクトルで記述した問題を解く際には、XY座標成分の関係式を使うことで問題を解いても良く、それもベクトルを使った問題解決方法の一種です。

 ベクトルが問題の記述手段であって、「どのベクトル系を使って問題を記述するかは解答者の意思に委ねられている」というベクトルの特徴は、問題の記述の自由度を更に増した複素数平面になると更に著しくなります。
すなわち、複素数平面では、「どの複素数系を使って問題を記述するかが解答者の意思に委ねられる」解答者の裁量の範囲が広がり、例えば、三角形の外心の位置を記述する複素数平面の式(相互に変換できる対等な価値を持つ式)は3~4つあります。

 高校生は、大人として完成する時期にいます。そのため、高校生は、もう大人として、自らで学ぶべき適切な知識を自ら発見して学んでいくのが良いと考えます。
 ベクトルの概念を教えない風潮があり、学生が「タイプ2」になる道を妨害していますが、高校生になった学生は、そういう風潮に押し流されず、自らベクトルという記述手段を学んでいくのが良いと考えます。

《ベクトルの概念の歴史》
 ベクトルの概念は,ある一人の数学者によって完成されたものではなく,様々な数学者や物理学者の考えが合わさり,生み出されたものである.
 18 世紀までに,ベクトルにつながるような概念はいくつかあったようである.中でも,複 素数平面に関する考えは,のちにベクトルの概念に繋がっていくことになる.

1840年 グラスマンが内積や外積を定義

 彼は『線型拡張の理論』という本を出し、内積と外積という言葉を初めて使います。
しかし折角のこの論文は日の目を見ませんでした。
提出先の教授が理解できなかったからです。


1843年 ハミルトンがベクトルとベクトル解析の発展を刺激した四元数を発見

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2018年6月3日日曜日

面と面の交線をベクトルで求める

 数学は、本来、難しい問題をやさしく解く方法の探求によって生み出されてきた学問です。
 数学で何か新しい手法を学んだら、「その手法でどの問題がやさしくなるのだろうか」という価値判断で新しい手法を評価するのが良いと思います。

【問】以下の図の面αと面βの交線を求めよ。

この問題は、面をあらわす式同士をイコールで結ぶだけで、あとは、計算間違いをしないように細心の注意をして計算していくだけ(それが難しいので訓練が必要ですが)で答えが得られます。

このベクトル方程式のベクトルa、b、cが、それだけで三次元空間の全ての点をあらわすことができる、線形独立な(他のベクトルの線形結合ではあらわせない)場合に限り、以下の式が成り立ちます。




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2018年6月2日土曜日

ひし形の対角線ベクトル変換公式

【ひし形の対角線ベクトル変換公式】
以下の図の、長さの等しいベクトルaとbでひし形を作る。
 この場合に、以下の式の関係が成り立つ。
 (ひし形の対角線ベクトル変換公式おわり)

【証明1】
この式1の左辺と右辺のベクトルの成分を比較する。
式1の右辺と左辺のベクトルの成分が一致する。
そのため、式1の右辺と左辺は等しい。 

式2は、式1のベクトルbを-bベクトルに置き換えるだけで成り立つ。
(証明1おわり)

【証明2】
以下の図を参照して、ベクトルの分解の公式を使ってベクトルを変換する。 
計算を媒介するベクトルpを使って、
以下の様にベクトルを変換する計算をする。
上の計算の様に、ベクトルpを、ベクトルaとbの和を右回りに90度回転したベクトルにすると、式3aが求められ、問題の式が証明できた。

 次に、ベクトルpを(ベクトルa-ベクトルb)にすると:
式3bが求められた。
式3bも、他の、ベクトルの変換の式である。
(証明2おわり)

この証明2の過程で得た式3が、式1よりも、より根源的な公式です。しかも、当たり前の形をしていて覚えやすい。そのため、式1を覚えるよりも先に式3を覚えるべきです。
なお、この式3の両辺には、形が異なるが平行なベクトルを選んで式に当てはめる。

  (補足1)
この公式は、ベクトルa+bが、ベクトルu+wに平行である事を示していますが、
ベクトルaの偏角<bの偏角の場合に、平行になり、
ベクトルaの偏角>bの偏角の場合に、逆平行になり向きが逆になり、
状況が異なりますので注意する必要があります。

(補足2)
この公式(式1)は、
であることをあらわしています。
これは、ひし形の対角線の直交の公式をあらわしています。
そのため、この公式は、ひし形の対角線の直交の公式を言い換えた公式であるという意味を持ちます。

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ひし形の対角線の直交の公式
円の極の座標の解の変換 
複素数平面が、円の2つの接線の交点問題を簡単にする 
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