【ベクトルによる座標軸の回転変換の公式】
ベクトル計算は本質的に、余弦定理に関連する計算に向いています。正弦定理や円周角の定理で解ける問題は、ベクトル計算を使わないで、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方がスムーズに解けます。回転変換についても、円周角の定理を使うのと同様に、正弦定理や円周角の定理を使った図形問題として解く方が良いです。
正弦定理や円周角の定理で解ける問題がベクトルで解きにくいというベクトル計算の弱点は、計算で使うベクトルaに対して、そのベクトルを90°回転させたベクトルを対にして使用して計算をすると、その方法は技巧的ですが、このベクトル計算の弱点がある程度補えて、ベクトル計算でも、円周角の定理や正弦定理に合った問題も解けるように改善できます。
ベクトルの方程式で、回転変換を扱うのも同様な問題があって、回転変換を記述するには:
下図のように、ベクトルaに対して、そのベクトルaを90°回転させたベクトルbを対にして使用すると、回転変換がベクトルを使って表現できるようになり、
ベクトル計算が本質的に持っている弱点を補うことができます。
ベクトルaを左回りに90°回転させたベクトルbは以下の式9で作ります。
この図の位置ベクトルZのXY座標軸で見た座標値を、(x,y)とします。
このベクトルZを、ベクトルaとbの合成で式1であらわします。
このベクトルZの合成の係数sとuは、ベクトルa方向のs座標軸とベクトルb方向のu座標軸であらわしたベクトルZの座標値を意味します。
このベクトル方程式1は詳しくは以下の式であらわされます。
この式7と8は、(x,y)を(s,u)で表す座標軸の回転変換の公式をあらわします。
なお、ベクトルaに垂直なベクトルbは以下の式9で作りました。
この様にして座標軸の回転変換の公式の7と8が得られましたが、この公式は、考えにくいものでした。
(1)以上では、座標軸を回転させてその新しい座標軸における点の座標値を(s,u)としました。
(2)ベクトル(x,y)を、上記の座標軸の回転方向と逆方向に回転させて、その新しいベクトルの座標値を(s,u)とすると考えることで、上記の(s,u)と同じ(s,u)が求められます。
この(2)の方法の方が考えやすいかもしれません。
この(2)の方法の、ベクトルの回転方法は、この行をクリックした先に書きました。
(sとtをxとyであらわす)
式1のsとuは以下の計算で求めます。
(10):ベクトルaと式1の両辺の内積をとると、以下の式10が得られます。
(11):ベクトルbと式1の両辺の内積をとると、以下の式11が得られます。
このsとuの計算結果は以下のように整理できます。
すなわち、座標値sとuで表したベクトルzが、su座標系でベクトルcであらわされたX座標軸のX座標値と、それに垂直なベクトルであらわされたY座標軸のY座標値であらわすベクトル方程式14が得られました。
詳しくは、以下の式17と式18であらわされます。
式7と8と、式17と18のセットで、座標軸の回転変換の公式が得られました。
リンク:
ベクトルの回転変換と三角関数の加法定理
座標の回転変換の公式を初めて学ぶ学び方
高校数学の目次
数学は、本来、難しい問題をやさしく解く方法の探求によって生み出されてきた学問です。
数学で何か新しい手法を学んだら、「その手法でどの問題がやさしくなるのだろうか」という価値判断で新しい手法を評価するのが良いと思います。
【問】以下の図の面αと面βの交線を求めよ。
この問題は、面をあらわす式同士をイコールで結ぶだけで、あとは、計算間違いをしないように細心の注意をして計算していくだけ(それが難しいので訓練が必要ですが)で答えが得られます。
このベクトル方程式のベクトルa、b、cが、それだけで三次元空間の全ての点をあらわすことができる、線形独立な(他のベクトルの線形結合ではあらわせない)場合に限り、以下の式が成り立ちます。
リンク:
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【ひし形の対角線ベクトル変換公式】
以下の図の、長さの等しいベクトルaとbでひし形を作る。
この場合に、以下の式の関係が成り立つ。
(ひし形の対角線ベクトル変換公式おわり)
【証明1】
この式1の左辺と右辺のベクトルの成分を比較する。
式1の右辺と左辺のベクトルの成分が一致する。
そのため、式1の右辺と左辺は等しい。
式2は、式1のベクトルbを-bベクトルに置き換えるだけで成り立つ。
(証明1おわり)
【証明2】
以下の図を参照して、ベクトルの分解の公式を使ってベクトルを変換する。
計算を媒介するベクトルpを使って、
以下の様にベクトルを変換する計算をする。
上の計算の様に、ベクトルpを、ベクトルaとbの和を右回りに90度回転したベクトルにすると、式3aが求められ、問題の式が証明できた。
次に、ベクトルpを(ベクトルa-ベクトルb)にすると:
式3bが求められた。
式3bも、他の、ベクトルの変換の式である。
(証明2おわり)
この証明2の過程で得た式3が、式1よりも、より根源的な公式です。しかも、当たり前の形をしていて覚えやすい。そのため、式1を覚えるよりも先に式3を覚えるべきです。
なお、この式3の両辺には、形が異なるが平行なベクトルを選んで式に当てはめる。
(補足1)
この公式は、ベクトルa+bが、ベクトルu+wに平行である事を示していますが、
ベクトルaの偏角<bの偏角の場合に、平行になり、
ベクトルaの偏角>bの偏角の場合に、逆平行になり向きが逆になり、
状況が異なりますので注意する必要があります。
(補足2)
この公式(式1)は、
であることをあらわしています。
これは、ひし形の対角線の直交の公式をあらわしています。
そのため、この公式は、ひし形の対角線の直交の公式を言い換えた公式であるという意味を持ちます。
リンク:
ひし形の対角線の直交の公式
円の極の座標の解の変換
複素数平面が、円の2つの接線の交点問題を簡単にする
高校数学の目次
以下の「ひし形の対角線の直交の公式」は、このページの読者の心の隅っこのどこかに残れば良いと思います。ガチガチに覚えないようにして、数学を楽しんで欲しいと思います。
読者が、この公式が必要になった時に、「たしか、そのような式がありそうな気がする」と思いだして、読者が自力でこの公式を導き出して使えたら良いと考えます。
(公式は全て、必要な時に自力で導き出して、それが使えれば良いと思います。)
【ひし形の対角線の直交の公式】
下図のひし形OAKBの2つの対角線OKとABが互いに直交することが、
以下の図の線分OKの傾きが、線分ABに平行な線分OHの傾きの逆数×(-1)である、ことにより証明できます。
【公式の証明】 (OA)2- (OB)2:
ー1/(OHの傾き)=(OKの傾き)
∴ OKとOHは直交する。
∴ OKとABは直交する。
「この式6の左右の項が互いに置き換えられる」
ということが、
ひし形の対角線の直交の公式です。
(ひし型の対角線の直交の公式おわり)
(補足)この公式を逆にして認識した方が良いかもしれない。
ひし形の対角線が互いに直交することは幾何学的に証明できます。
そして、この公式の逆の証明により、線分OKと線分ABが互いに直交する場合は:
ー1/(ABの傾き)=(OKの傾き)
となる事が証明できる。
なお、
ー1/(ABの傾き)=(OKの傾き)
となる事も、
以上の計算をしないでも、幾何学的に証明できます。
【ひし形の対角線の直交の公式の応用】
ひし形の対角線の直交の公式は、以下のように、ベクトルの内積の式を変換する計算に使います。
上図のベクトルに関してひし形の対角線の直交の公式は、以下の式a1又はa2であらわせます。
式a3のように、ベクトルの内積の式が、式a2を使って変換できます。
また、この式a3を使うと、以下の式a4であらわす、
任意の定数sで成り立つベクトルの内積の変換公式が作れます。
【2重平行四辺形の面積の公式】
ここで、もう1つの式7で与えられる、2重平行四辺形の面積の公式も覚えて使いましょう。
(これは、OAの長さとOBの長さが異なっても成り立つ恒等式です)
この式7の公式は、右辺から左辺を導く公式として覚えましょう。
この式7の公式は、以下の図の2重の平行四辺形の面積の大きさの関係をあらわす公式です。
(この計算は、ベクトルの外積の計算であり、並行四辺形の面積を求める計算であるという意味を持ちます。)
(2重平行四辺形の面積の公式おわり)
この2重平行四辺形の面積の公式は、ベクトルAとBを反時計回りに90度回転したベクトルAvとBvを使って、以下の式であらわせます。
リンク:
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以下で、交差する曲線(直線も曲線の一種)の全ての交点を通る全ての直線を求める方法を調べる。
【課題】2つの曲線:
(直線1) y=0 (式1)
(放物線2) y=x2 (式2)
がある。この2つの曲線の交点を全て(この場合は座標原点のみ)を通る全ての直線の式を求める方法を調べる。
この課題の曲線1(式1)と曲線2(式2)の連立方程式の解が交点(この場合は座標原点)の座標になる。
この式1と式2をどの様に使えば、その交点を全て通る全ての直線の式を求めることができるかを調べる。
(調査研究の開始)
この課題は、以下の形の式を作る問題です。
(直線3) ax+by=c (式4)
(第1の計算方針)
新しい直線の式を求めるには: 式1を、式2に代入すると、以下の式3が得られる。
0= x2
∴ x=0 (式3)
この式3は、新しい直線をあらわす式でもある。
式1と式3を連立すると、
任意のaとbに関して:
ax+by=0 (式4)
が得られる。
この式4は、任意のaとbに関する直線をあらわす式でもある。この式4は、式1の曲線と式2の曲線の全ての交点(原点のみ)を通る。
こうして、式1を式2に代入する計算をすれば、式1の曲線と式2の曲線の全ての交点を通る全ての直線の式を求めることができることが分かった。
(第2の計算方針)
式1と式2を重みを付けて足し合わせる計算をしてみる。
式2を変形する。
y- x2 =0 (式2’)
(式2’)ー(式1):
0-x2 =0
x=0 (式3)
これによっても式3が得られる。
式1と式3を連立すると、
任意のaとbに関して:
ax+by=0 (式4)
が得られる。
(補足)
この事例の場合は、第2の計算方針によっても、全ての交点を通る全ての直線を求めることができた。
しかし、後で説明する他の事例「円と円の交点」の場合では、第2の計算方針によっては、全ての交点を通る全ての直線を求めることはできない。
全ての交点を計算するには、先の図のような図を描いて答えを予測できるように計算の見通しを良くした上で、その答えが得られるように計算式を導く事が良いことが分かった。
(計算の見通しを良くするにはベクトルで考える)
式と図形の計算式の見通しを良くするには、ベクトルの概念を使って、式をまとめて(整理して)考えることが効果的です。そのため、式と図形の計算の学習と並行して、ベクトルの概念も学んでいってください。
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以下で、2円の交点を通る直線の全てを求めることができるか調べる。
【課題】2つの円、
(円1) (x-1)2+y2=1 (式1)
(円2) (x+1)2+y2=1 (式2)
がある。この2つの円の交点を全て(この場合は座標原点のみ)を通る全ての直線の式を求める方法を調べる。
この課題の円の(式1)と(式2)の連立方程式の解が交点(この場合は座標原点)の座標になる。
この式1と式2をどの様に使えば、その交点を全て通る全ての直線の式を求めることができるかを調べる。
(調査研究の開始)
この課題は、以下の形の式を作る問題です。
(直線3) ax+by=c (式3)
(第1の計算方針)
m(式1)+n(式2)を計算することで、直線3の式を求める。
計算の見通しを良くするために、式にmを掛け算してm倍になる項を全て左辺に集めた式に整えて計算する。
(円1) (x-1)2+y2-1=0 (式1’)
x2-2x+1+y2-1=0,
x2+y2-2x=0 (式4)
(円2) (x+1)2+y2-1=0 (式2’)
x2+2x+1+y2-1=0,
x2+y2+2x=0 (式5)
(直線3の式の計算)
先ず、m(式4)+n(式5)を計算することで、直線3の式を求める。
m(x2+y2-2x)+n(x2+y2+2x)=0 (式6)
この式6を、式3と等しくなるように、mとnの値を決める。
式6と式3を比較し易いように、式6を変形する。
(m+n)x2+(m+n)y2
+(-2m+2n)x
=0, (式7)
直線の式3には、x2の項やy2の項が無いので、上の式7もそれらの項の係数が0でなければならない。
(詳しくは、以下のように考える)
式7が式3と等しいためには、両式の各係数が等しくなければならない。
<式7> <式3>
x2の係数: (m+n) =0, (式8)
y2の係数: (m+n) =0, (式8と同じ)
xの係数: (-2m+2n)=a,
yの係数: 0 =b,
定数項の係数: 0 =-c,
式8以外の式は未知数a,b,cを定める式であって、mとnを限定する式ではないので、mとnを限定するのは式8のみ。
よって、
m+n=0 (式8)
この式8の条件を満たすmとnのどの組合せでも良い。
とりあえず、m=1、n=-1に決める。
その場合は、式7は、以下の式になる。
(-2-2)x=0,
-4x=0,
(-4)で式全体を割り算する。
x=0 (式9)
この式9が求める式3の形(を変形した形)の具体的式である。
(注意)この式9は、式4と式5を加えて得た式であるので、式1と式2の円の交点(座標原点)を通る。
しかし、図から明らかなように、円1と円2の全ての交点(座標原点のみ)を通る直線は、この式9だけでは無い。
(結論)
式6の計算だけでは、円1と円2の全ての交点を通る全ての直線の式が得られないことがあることが分かった。
(疑問)
式6の計算によって、式4と式5を加え合わせるmとnの値をどの様に変えても、この式9の直線以外は得られないのだろうか、どこに見落としがあるのだろうか。
この疑問への答えを考えた結果、以下の答えが得られた。
(疑問の解決)
式9を、式4又は式5に代入すると、以下の式10が得られる。
y2=0 (式10)
∴ y=0 (式11)
式9と式11を連立すると、
任意のaとbに関して:
ax+by=0 (式12)
すなわち、任意のaとbに関する直線が、
円1と円2の全ての交点(原点のみ)を通る。
こうして、式9を元の円の式に代入する計算をすれば、円1と円2の全ての交点を通る全ての直線の式を求めることができることが分かった。
この様に、式9を元の円の式に代入するという発想は、式9だけでは円の交点を通る全ての直線が求められていないという事が分かっているからこそ、発想できた。そのように解の全てが予測できなければ、この解には至らなかった。
(結論)
以上の考察の結果、計算する際には、その計算で得られた解が全ての解であるかが分かるように、計算の見通しを良くする事がとても大切であることが分かった。
(計算の見通しを良くするにはベクトルで考える)
式と図形の計算式の見通しを良くするには、ベクトルの概念を使って、式をまとめて(整理して)考えることが効果的です。そのため、式と図形の計算の学習と並行して、ベクトルの概念も学んでいってください。
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